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高森明勅
2020.2.11 06:00その他ニュース

日本書紀に特筆された「忠犬」

改めて言うまでもなく、日本書紀は我が国で最初の「正史」だ。
正史とは、国家の事業として編纂(へんさん)され、最も正統と
認められた歴史書。
日本書紀に取り上げられた人物は、それによって将来、永遠に
歴史に名前を留めることになる。
そうした中で、1匹の犬が日本書紀に登場する。
6世紀に物部守屋(もののべのもりや)が滅ぼされた時(587年)、
守屋の家来だった捕鳥部万(ととりべのよろず)が目覚ましい奮戦を見せて、
壮烈な最期を遂げた。
朝廷は反逆者として、その首を串に刺して晒(さら)しものにしようとした。
その場面で、万が飼っていた白い犬が現れ、人々を近づかせないように、
死体の周りを回って吠えた。
そうして頭を咥(くわ)えて古い墓に収め、そのまま傍らにいつまでも
伏して飢え死にした。朝廷はその犬の忠誠ぶりに感動し、当初の方針を変更した。
新しく墓を2つ並べて造らせ、そこに万と犬とを丁重に葬らせたという。
日本書紀は、万の奮戦と共に、その忠犬についても特筆大書した。
これによって万の犬は、約1500年もの歳月を越えて、現代にまで
その忠誠が伝わることになった。
書紀編者の志にも心を動かされるものがある。 

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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